ギャッベと言われる絨毯があり、日本ではあまり浸透していませんが、イランの遊牧民のカシュガイ族が生み出した手織り絨毯のことです。
イランというとペルシャ絨毯が連想されますが、ギャッベというのはイランの言葉では目の粗いもので毛足も長い絨毯という意味で区別されています。
カシュガイ族は主に山岳移動を繰り返していたのですが、羊毛を織り上げて柔らかに仕上げ、ベッドで利用できるように作られています。
見た目としては色合いが素朴であることが言えます。
その理由も赤と青と黄色と緑と茶色の5色のみで作られるのですがそれを手織りによってうまく折り込み、微妙な色合いを生み出しています。
ペルシャ絨毯と同じく自然の染料を使用し、イラン南部の高原地帯の植物を利用し自然の色合いを生み出しているのが特徴と言えます。
それだけに他の国では絶対に生み出せない素朴さが感じられる絨毯になっているわけです。
その素朴さが室内に暖かみをもたらし、独特の色合いは世界中の数々の人を魅了しています。
ペルシャ絨毯が豪華絢爛な美術品と評されるのであれば、ギャッベは素朴で質素な味わいが売りの生活民具と言えます。
実際にカシュガイ族は様々な利用法をしており、敷物だけではなく家畜の防寒具や寒さを凌ぐ道具として使われ続けてきています。
さらにギャッベの人気は最近のもので50年前までは絨毯としての価値は低かったのですが、今ではその素朴さが多くのファンを呼び、イランの代表的な芸術品のひとつとされています。
ペルシャ絨毯は紀元前から誕生している高級品なので差は歴然ですが、それまでイランにはペルシャ絨毯だけが代表とされ続けていた中で800年前から存在するギャッベが近代でようやく評価されたというのは不思議な感じがします。
欧米人が初めて買い付けた時に芸術品だと物語っていてそこから世界中に浸透していきました。
つまりイラン国民は欧米人が存在を知るまで低価値と思い込んでいたということですが、日本の浮世絵の感覚を思い出します。
見る対象が変われば物の価値は大きく変わる一例なのかもしれません。
ペルシャ絨毯のような繊細さはありませんが、手織りの自然な暖かみと遊牧民の力強さを感じ取ることのできるインテリア品としてお勧めできます。
また価格的にも安価でお求めやすく嫁入り道具として重宝されるほどの耐久性の高さは魅力的で、お手入れも掃除機を定期的にかけるだけで十分です。
それでも気になる方は毛の流れにそってかけると長く楽しめると思います。
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