絨毯文様の構成は、中央部(フィールド)とそれを囲む周辺(ボーダー)からなっている。
しかし、いずれも複数の文様が複合して表現されている為、
主要な文様を取り上げて分類することが通例である。
もっとも代表といえるメダリオン(中心柄)、オールオーバー(総柄)、メヘラブ(一方向柄)、ピクチャー(画柄)の4種類に分類できます。
アラベスクを直訳すると「アラビア風」の意味。
渦巻き状の唐草先端を飾る百合の花に似たモチーフで通常2股に分かれている。抽象的に様式かされたエキゾチックあふれるデザインは他のモチーフと組み合わせて様々な産地の絨毯に用いられています
糸杉は西アジアから地中海周辺のやや乾燥した地方によく見られる樹木です。縦長で左右対称の形状を持つ糸杉が天に向かって垂直に伸びる姿から「神」を意味し、常緑樹である為、永遠の命を意味するといわれています。この糸杉の周りに鳥や鹿などの動物が描かれることがありますが、これは自然の中から動物の命は生まれる意味がある。
エスリミーは主にペルシャ絨毯のフィールドやボーダー部分に描かれ、渦を巻くようにつなげる蔓(つる)を意味している。このデザインはシルクロードから日本に渡り「唐草文様」と呼ばれ、日本の風呂敷にも見られるデザインです。
絨毯全体に咲き乱れる花や鳥たちであふれる春の楽園を表現している。イスラム教のコーランの教えでは偶像崇拝は禁じられており、基本的に生き物は描くことはできませんが、シーア派のイランでは許されている。イスファハンやケルマンの絨毯に多く見られるデザイン。
ゴルダニ柄と呼ばれ、ペルシャ語でゴルは「花」「異国の花」ダニは「花瓶」を意味する。花瓶に華やかな薔薇や生命の木が伸びている物がある。 メヘラブ柄と呼ばれる一方向柄の下に描かれるのが一般的だが、総柄の絨毯の4方のコーナーに配されるデザインでもある。
糸杉や松ぼっくりを原型に図案化したイラン発祥のデザイン。このデザインを私たちは「ペイズリー」の名で親しんでいるが、英国がインドショールを参考にボテ文様を染めた織物を、スコットランドのペイズリーが語源となり世界的に有名になったペルシャデザイン。
モスクの円天井にタイル装飾された同心円状に広がる特徴的なデザイン。絨毯の産地によりこのデザインカラーが違い様々なモスク文様がある。歴史と伝統を誇るイスファハンの絨毯やその周辺産地であるナイン、クムの絨毯によく見られる。
名前の由来はイラン国境のアフガニスタン・ヘラートからといわれている。イランでは菱形の周りのコーカサス地方の葉模様が小魚に似ていることからマヒ(魚)文様とも呼ばれる。文様を構成している菱形と花の裏の部分のカラーによってイメージが変わる。
ペルシャ絨毯に見られる狩猟文様はアケメネス朝から続く伝統的なもので王候貴族達の娯楽であり勇気と力を象徴している。英語のパラダイスはペルシャ語の「バイリダェザ(狩猟の為の放牧地)」をその語源としており、古代の王侯貴族とって猟は楽園の喜びを感じるスポーツであった。