ペルシャ絨毯は、かつてペルシャと呼ばれていた現在のイランで作られている絨毯です。日本では布織物に各地方の名が付けられ、それぞれ異なる特徴を持っていますが、ペルシャ絨毯も制作された地域によって特色があります。現在イラン国内には十数の産地があり、ここでは説明しきれない程に多様性にあふれています。使用される素材や模様、色などに違いがあり、実用的なものから装飾向けのものまで様々です。
ペルシャ絨毯には3000年ほどの歴史があるといわれており、現在では芸術的価値の高い伝統工芸品として世界に知られ、盛んに取引が行われています。中東地域で盛んに制作されていたものが、十字軍遠征などの出来事を通じてヨーロッパ諸国に伝わり、後に日本にも伝えられることになります。ペルシャ絨毯は歴史的価値と美術的価値、実用性の三種が備わった工芸品であり、現在の絨毯に関する市場では高いシェアを誇っています。
中東のエキゾチックな雰囲気に惹かれてペルシャ絨毯に興味を持つ日本人が多いですが、購入するなら見た目だけでなく、使われている素材もしっかり確認するようにしましょう。絨毯の素材には絹や綿、羊毛などが使用されていますが、材質によって美しさや耐久性が大きく違ってきます。日本人に人気の高い絹製の絨毯は、美しさと繊細さは群を抜いていますが、その反面耐久性が低く、床に敷いて使用するのには不向きといえます。絹製の美しい絨毯は実用性を求めるのではなく、部屋にタペストリーのように飾って楽しむのが一般的なようです。絨毯に実用性を求めるなら、見た目はやや劣りますが、比較的丈夫といわれる羊毛製を選ぶといいでしょう。絹と毛が両方使用されている絨毯の場合は、繊維の比率を見てから床用にするか装飾用にするかを決めるといいでしょう。
美しさと実用性を兼ね備えたペルシャ絨毯ですが、長く使い続けるには定期的な手入れが必要になります。掃除する際は絨毯用に作られた掃除機を使用すると、布地を傷めることなくきれいにすることが出来るでしょう。数年に一度はにおいや汚れを取るために、水を使ったクリーニングを行うことをおすすめします。自宅で絨毯の洗濯を行うのは大変なことなので、専門のクリーニング業者に依頼するといいでしょう。住宅環境によっては、日焼けや虫食いによる穴あきなどのトラブルが起きることがあります。トラブルがあった際は、絨毯修理の専門店を利用して復元してもらうといいでしょう。