ペルシャ絨毯の歴史は3000年から4000年くらい前に獣毛を固めたようなものから始まったといわれています。絨毯は使用されていたものであったことや年月がたつと劣化したり形をなくしてしまうようなものであることからその当時のものが残されているわけではないので、起源を特定することは難しいのですが、16世紀ごろにイラン北西部のタブリーズという街付近で作られたペルシャ絨毯が現在でも実在する最も古いものです。その絨毯が作られたころはペルシャ美術の黄金時代でペルシャ絨毯の製作が最もよく行われた時期でした。そしてイラン周辺では今でもペルシャ絨毯が作られています。
ペルシャ絨毯にも使われている材料などによって品質の違いがあります。よく普及されているものは産地周辺の農家の人や工房の人によって作られている厚めの絨毯で化学染料も使われています。価格的には10万円前後のものとなります。次に品質の良いのはシルクやウールで作られているもので工房の織子が制作しています。厚みは中くらいで一部に化学染料も使用されていますが、20万円から30万円程度の価値があります。そして最も品質が良いのは山繭や子羊の胸毛を使用したもので熟練した織子が制作したものです。絨毯の厚みは薄いですが織り目は細かく天然染料を使用しています。価格にすれば50万円から100万円くらいのものとなります。
デザインもいろいろあり、分類すると中心部に大きな模様を持つ「メダリオン」、中心部と四隅に統一模様がある「メダリオンコーナー」、全体的に柄がありメダリオンを持たない「オーバーオール」、幾何学模様の「ジオメトリック」、モスクをイメージした模様の「メヘラブ」、絵画や景色などの絵の「ピクチャ」などがあります。デザイナーが作成した製作図に従って、織子が縦糸と横糸が交わる点に指定された色の糸を結んで切りそろえながらひとつひとつ手作業で織り上げていきます。
作られる絨毯のサイズは欧米人向けの大きなサイズが多く、日本人が好むような小さなサイズのものはあまり作られないため日本人にとっては入手が難しく、すべてて作りのペルシャ絨毯はとても高価なものとなります。
天然染料を使った高級な絨毯は使いこんで年月がたつほど色合いが落ち着いて美しい絨毯になっていくのが特徴で、制作をするときにはそのことを見込んだ色を使って製作されるのです。しかし使っていてもしクリーニングが必要な場合には専門業者に依頼するようにすることで長く品質を保つことができます。