実用性と美術的価値の両方を併せ持つ、ペルシャ絨毯ですがその素材には主に絹(シルク)、羊毛(ウール)、木綿(コットン)の3種類が用いられています。
シルクは、養蚕に適した土地である、カスピ海沿岸のマザンダラン地方や中北部イラン、さらにはカーシャン地方で主に産出されます。シルクのカーペットは、打込みが良い上に、軽くてしなやかです。パイルだけではなく、縦糸・横糸としても使用されています。現在多く普及している製品には、中国産のシルクが多く使用されています。一般的に他の繊維と比べて、高価な繊維とされペルシャ絨毯の中でもシルクを用いた製品は価格が高くなり、物によっては、100万円を超える製品も少なくありません。
高価である反面、水に弱く家庭での洗濯が難しい上に、虫に食われやすいかったり、日光や汗などが触れたりすると変色してしまうという側面もあります。
羊毛(ウール)はその名の通り、ヤギの毛を使用しますが、場所によってはラクダ・ヤクの毛を使用するところもあります。一般的に、足やおなかの毛より脇腹や肩の毛の方が品質が良いです。羊が住む、気候も品質に影響を与え、気候の温暖な地域にいる羊より、寒さに厳しい山岳地帯で飼育された羊の毛の方が品質が良いとされます。また、皺になりにくかったり、他の繊維に比べて燃えにくいという特性もあります。
最もウールの中で最高級とされるのが、ホラサン地方のものといわれ、弾力性に富み、起毛力に優れています。そのなかでもコルクウールの生後8ヶ月から14ヶ月のラムの毛は、ウールの中でも最上級の繊維として知られています。
弱点としては、引っ張られる力や摩擦に弱く、洗うと縮んでしまうといった弱点があります。
価格はシルクの物よりも安く、コットンよりは高い傾向にあります。
木綿(コットン)は生産されている地域が多く、生産量も多いので価格がシルクやウールと比べると安い傾向にあります。古くから生産されていた素材でもあり、カーペットなどに限らず、あらゆる衣類に使用されています。昔のコットンに比べて、最近の品種改良や生産技術の向上によって、良質な綿花が生産されるようになり、ペルシャ絨毯では縦糸や横糸の素材になります。
ウールと比べると、コットンの縦糸の方が歪むことが少なく、床に馴染みやすいという性質があります。反面ウールと比べると、皺になりやすかったり、水に濡れてしまうと乾きにくいという特性もあります。