ギャッベの織り方について
About Gabbeh Weaving Techniques

ギャッベは分厚いイメージがありますが、厚ければ高価なのか?
答えは意外にも薄い方が高価です。
織り手や部族によって受け継がれてきた技術が異なり、
使われる糸の太さや織りの密度、毛足の長さによって、厚みや手触り、
表現できる柄の細かさにも違いが生まれます。
羊毛から糸を作る
Make yarn from wool.

ギャッベの主な素材となるのが羊毛(ウール)です。
伝統的なファールス地方の絨毯作りでは、羊から刈り取った毛を洗浄し、紡いで糸にしていきます。
手仕事によって作られる糸には、太さや撚りにわずかな違いがあります。この均一すぎない糸が、ギャッベならではの素朴で温かみのある表情につながっています。
糸を染める
Dye the thread.

紡いだ羊毛は、ギャッベのデザインに合わせて染色します。
伝統的な絨毯作りでは、茜や藍、ザクロ、クルミなど、植物をはじめとする天然由来の染料が使われてきました。
また、羊毛本来の白や茶、黒などを染めずに生かすこともあります。
天然染料で染めた糸は、同じ色でも染める時期や材料などによって微妙な濃淡が生まれます。
この色の揺らぎも、手織りのギャッベに奥行きのある表情を生み出します。
織機に縦糸を張る
String the warp on the loom.

糸の準備ができたら、織機に絨毯の土台となる縦糸を張ります。
遊牧生活の中で受け継がれてきた伝統的な絨毯作りでは、
地面に近い位置に設置する水平式の織機も使われてきました。
縦糸の張り方は、完成する絨毯の形や強度にも関わる大切な工程です。
一目ずつ糸を結んで織り上げる
Weaving by knotting the thread stitch by stitch.

ギャッベ作りの中心となるのが、縦糸にパイルとなる羊毛の糸を一目ずつ結びつけていく作業です。
パイル糸を結び、その間に横糸を通して打ち込みながら、少しずつ絨毯を織り進めていきます。
伝統的なファールス地方の絨毯織りでは、決められた下絵をそのまま再現するのではなく、
織り手が色や柄を考えながら織り進めていくことも特徴です。
動物や植物、幾何学模様などが一目ずつ形になり、やがて一枚のギャッベへと仕上がっていきます。
織りの細かさによって
変わるギャッベの表情
The varying character of Gabbeh rugs
based on the fineness of the weave.

一口にギャッベといっても、すべてが同じ細かさで織られているわけではありません。
部族や地域ごとに受け継がれてきた織りの違いを背景に、現在では糸の太さや織りの密度、仕上がりなどによって、さまざまなタイプのギャッベを見ることができます。
代表的なものとして「スタンダード」「アマレ」「カシュクリ」「ルリバフ」があります。
1. スタンダード
厚手 (20mm〜30mm)、ふかふかで最もギャッベらしい素朴な柄。毛足が長く重厚。
太めの糸を使い、比較的ざっくりと織り上げたタイプです。
毛足が長く厚みがあり、ふっくらとした踏み心地と、ギャッベらしい素朴な表情を楽しめます。
2. アマレ
中厚 (15〜18mm)、程よい弾力で遊び心のあるユニークな柄が特徴。実用性とデザインの好バランス。
スタンダードより細い糸を使用し、織りの密度を高めたタイプです。
織り目が細かくなるため、柄の表現もより繊細になり、表面も整った印象になります。
3. カシュクリ
薄手 (12〜15mm)、手触りがなめらかで風景の柄など繊細な表現が多い。上品で都会的なインテリアにも合う。
さらに細い糸を使って高密度に織り上げたタイプです。
毛足を短く整えても十分な密度があり、薄くしなやかな仕上がりになります。細かな柄を表現できることに加え、なめらかな手触りも特徴です。
4. ルリバフ
極薄 (10〜12mm)、ビロード状ルリ族が織る最高峰。光沢がありペルシャ絨毯に近い芸術性。
非常に細い糸を緻密に織り上げる、特に細かな織りを特徴とするタイプです。
毛足は短く、厚みも抑えられていますが、その中には非常に多くの結び目があります。細かな文様まで表現することができ、高度な技術と多くの手間を必要とするギャッベです。
※これらの名称や分類基準は、産地や取り扱う工房・販売店などによって異なる場合があります。
ギャッベは「厚いほど高級」
とは限らない
A Gabbeh is not necessarily
higher quality just because it is thick.

ギャッベを初めて見たとき、「厚くてふかふかしているものほど高価なのでは?」と思われる方もいるかもしれません。しかし、ギャッベの品質を見るうえでは、厚みだけで判断することはできません。
細い糸を使って一目一目を高密度に織り、十分な強度を保ちながら毛足を短く仕上げるためには、高い技術と多くの手間を必要とします。
そのため、上質な素材などの条件も揃った緻密なギャッベは、薄手でありながら高く評価されることがあります。
ギャッベを選ぶ際には、表面の色や柄だけでなく、横から厚みを見たり、裏面の細かな織り目を確認したりしてみてください。一枚のギャッベがどれほど細かな手仕事によって作られているのか、その違いをより深く感じることができます。