ギャッベの特徴や歴史、
柄に込められた意味まで解説
An Introduction to Gabbeh Rugs
素朴で温かみのある色合いと、どこか愛らしい動物や植物のモチーフが魅力の「ギャッベ」。
「普通の絨毯とは何が違うの?」「ペルシャ絨毯とは別物なの?」と疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
上質なウールならではの心地よさや丈夫さに加え、織り手の感性から生まれる自由なデザインもギャッベならではの魅力です。
ここでは、ギャッベの歴史や産地、素材、デザインの特徴から、選び方やお手入れ方法まで
20年以上ペルシャ絨毯専門店として培った知識と、35年以上の絨毯販売実績を持つ日本人オーナーが解説させていただきます。
ギャッベとは
About Gabbeh

ギャッベ(Gabbeh)とは、イラン南西部のファールス地方などで伝統的に織られてきた、毛足の長い手織り絨毯です。ペルシャ語の「Gabbeh」には「粗い」「自然な」「素朴な」といったニュアンスがあるとされ、その名の通り、細密な文様を特徴とする都市部のペルシャ絨毯とは異なる、素朴でおおらかなデザインが特徴です。
ペルシャ絨毯とギャッベは別物なのかお客様に質問されることはありますが、
ギャッベはインドやトルコでも織られていますが、ペルシャ(現イラン)で織られた絨毯なので、
ペルシャ絨毯の一種と考えて問題ありません。
もともとは販売するための美術品としてではなく、遊牧生活を送る人々が自分たちの暮らしのために織っていた実用品でした。
テントの中に敷いたり、寒さを和らげたり、くつろいだりするために使われてきたため、厚みがあり、丈夫で、足触りのよい絨毯に仕上げられています。
現在では、その素朴な美しさが世界的に評価され、伝統的な住まいだけでなく、モダンな住宅にも合わせやすいインテリアとして親しまれています。
ペルシャンギャラリー青山では本場イランのシラーズ地方より、草木染めの本物の手織りギャッベのみを入荷しています。
ギャッベの歴史
The History of Gabbeh

ギャッベがいつ誕生したのか、正直なところ正確な年代は分かっていません。
イランでは古くから絨毯を織る文化が発達しており、ギャッベもイラン西部から南西部にかけて暮らす遊牧民たちの生活の中で受け継がれてきたと考えられています。
現在確認されている「ギャッベ」に関する古い記録のひとつが、16世紀のサファヴィー朝・タフマースブ1世の時代に残された文書です。少なくともこの時代には「ギャッベ」と呼ばれる敷物が存在していたことが確認されています。
ギャッベの産地
About the regions where Gabbeh rugs are produced

ギャッベの代表的な産地として知られているのが、イラン南西部のファールス地方です。
この地域では古くから遊牧民や農村の人々によって絨毯が織られてきました。
なかでもギャッベと深い関わりを持つことで知られているのが、カシュガイ(Qashqai)などの遊牧民です。
羊とともに移動しながら生活する彼らにとって、羊毛は身近な素材でした。その羊毛を糸にして染め、一目ずつ結びながら絨毯へと仕上げていきます。
ファールス地方に伝わる伝統的な絨毯織りの技術は、2010年にユネスコ無形文化遺産の代表一覧にも登録されています。
ギャッベのデザインについて
About Gabbeh Designs

伝統的なギャッベの大きな特徴が、織り手の感性によって生み出される自由なデザインです。
一般的なペルシャ絨毯は、あらかじめ用意された図案をもとに緻密な文様を織り上げていきます。
しかし、ファールス地方の伝統的な絨毯織りでは、織り手が下絵を使わず、色やデザインを考えながら織り進めていく文化があります。
そのため、同じようなモチーフを使ったギャッベであっても、色使いや配置、表情は一枚ごとに異なります。
わずかな歪みや色の揺らぎも、機械製品にはない手仕事ならではの個性です。
「世界に一枚しかない絨毯」といわれる理由は、こうした作り方にあります。
ギャッベの織り方について
How Gabbeh rugs are woven

ギャッベは分厚いイメージがありますが、厚ければ高価なのか?
答えは意外にも薄い方が高価です。
織り手や部族によって受け継がれてきた技術が異なり、使われる糸の太さや織りの密度、毛足の長さによって、厚みや手触り、表現できる柄の細かさにも違いが生まれます。
詳細ページでは代表的な織りの違いを「スタンダード」「アマレ」「カシュクリ」「ルリバフ」の4つに分けて解説します。
ギャッベに使われる素材
About Gabbeh Materials

伝統的なギャッベでは、主に羊毛(ウール)が使われています。
ファールス地方の絨毯織りでは、現地で刈り取った羊毛を糸にし、絨毯へと仕上げてきました。
ウールは弾力性があり、踏んだときに柔らかな感触があります。また、ギャッベは比較的毛足を長く残して仕上げられるため、ふっくらとした厚みを感じられるのも特徴です。
もともと遊牧生活の中で敷物として使用されてきた背景を持つことから、美しさだけではなく、日常生活で使える丈夫さも備えています。 リビングやダイニングはもちろん、玄関やベッドサイドなど、さまざまな場所で楽しむことができます。
ギャッベの豊かな色彩
The rich colors of Gabbeh rugs

ギャッベの魅力を語るうえで欠かせないのが、豊かな色彩です。
伝統的なファールス地方の絨毯では、茜や藍、クルミ、ザクロなど、自然由来の素材を利用した染色が行われてきました。
天然染料で染めた糸は、一見すると同じ色に見えても、よく見ると少しずつ濃淡が異なります。
この自然な色の変化が、ギャッベ独特の奥行きのある表情を生み出します。
均一に仕上げられた工業製品とは異なり、見る角度や光の入り方によって印象が変わるのも楽しみのひとつです。
ギャッベの柄・モチーフの魅力
The Appeal of Gabbeh Patterns and Motifs

ギャッベには、動物や植物、人、幾何学模様など、さまざまなモチーフが登場します。
代表的なのが、羊やヤギなどの動物、木を思わせるモチーフ、四角形などのシンプルな幾何学模様です。
こうしたデザインは、織り手たちが日々の暮らしの中で目にしてきた自然や動物、生活風景などから着想を得たものです。
細かな文様を規則正しく配置するのではなく、広い色面の中に小さな動物や木がぽつんと描かれていることもあり、この余白を生かした大胆なデザインもギャッベらしさのひとつです。
ギャッベのお手入れ方法
How to Care for Gabbeh Rugs

ギャッベに利用されているウール素材の機能性についてや、
飲み物や調味料をこぼしてしまった際のギャッベのお手入れ方法をご紹介します。