ギャッベのデザインについて
The History of Gabbeh

伝統的なギャッベの大きな特徴が、織り手の感性によって生み出される自由なデザインです。
一般的なペルシャ絨毯は、あらかじめ用意された図案をもとに緻密な文様を織り上げていきます。
しかし、ファールス地方の伝統的な絨毯織りでは、織り手が下絵を使わず、
色やデザインを考えながら織り進めていく文化があります。
そのため、同じようなモチーフを使ったギャッベであっても、
色使いや配置、表情は一枚ごとに異なります。
わずかな歪みや色の揺らぎも、機械製品にはない手仕事ならではの個性です。
「世界に一枚しかない絨毯」といわれる理由は、こうした作り方にあります。
下絵を使わず、
織り手の感性で描く
Created using the weaver’s own sensibility,
without a preliminary sketch.

伝統的なファールス地方の絨毯織りでは、あらかじめ用意された下絵を見ながら模様を再現するのではなく、 織り手自身がデザインや色を考えながら織り進めていきます。
身近にいる動物や植物、遊牧生活の中で目にした風景などをモチーフにしながら、
一目ずつ色糸を結んで絵柄を作っていきます。
そのため、同じような柄や配色であっても、まったく同じギャッベが出来上がることはありません。
線がわずかに曲がっていたり、左右で形が違っていたりするのも、
手仕事から生まれるギャッベならではの表情です。
自然から生まれる
ギャッベの色彩
The colors of Gabbeh, born from nature.

赤、青、黄色、緑、茶色など、ギャッベにはさまざまな色が使われます。
伝統的なファールス地方の絨毯では、茜や藍、クルミ、ザクロなど、身近な植物から得られる天然由来の染料が利用されてきました。
また、染色していない羊毛そのものの白や茶、黒などを生かしたギャッベもあります。
天然染料や羊毛そのものが持つ色にはわずかな濃淡があり、同じ色の中にも自然な揺らぎが生まれます。
こうした色の変化も、ギャッベの表情を豊かにしている要素のひとつです。
余白を生かした大胆なデザイン
A bold design that makes effective use of negative space.

ギャッベのデザインを特徴づけているのが、大きな色面と余白を生かした構図です。
都市部で作られる伝統的なペルシャ絨毯には、
草花や唐草などの細かな文様を規則正しく配置したものが多く見られます。
それに対して伝統的なギャッベでは、広い無地の空間に小さな木や動物だけを配置するなど、
非常にシンプルなデザインも珍しくありません。
この素朴さが、現在ではモダンなインテリアにも合わせやすいギャッベ独自の魅力となっています。
時代とともに変化してきた
ギャッベのデザイン
Gabbeh designs that have evolved over time

もともとのギャッベは、遊牧民が自分たちの暮らしのために織っていた素朴な敷物でした。
そのため、伝統的なギャッベには細かな装飾が少なく、大胆な色面とシンプルなモチーフを組み合わせたものが多く見られます。 1980年代以降、こうしたデザインが欧米で評価されるようになると、海外市場からの需要も増加しました。
それに伴い、伝統的なデザインを受け継ぎながら、
新しい配色やモチーフを取り入れたギャッベも作られるようになります。
同じものが二つとない、
一点ものの魅力
The appeal of one-of-a-kind
items—no two exactly alike.

ギャッベのデザインに、絶対的な正解はありません。
織り手が選んだ色、自由に配置された動物や植物、
手仕事だからこそ生まれる線の揺らぎ。そのすべてが一枚のギャッベの個性になります。
整然とした美しさだけではなく、人の手で作られた温かみや、少し不揃いな表情まで楽しめること。
そして、数あるギャッベの中から「これが好き」と思える一枚を探せることも、
ギャッベを選ぶ楽しさのひとつです。
